
イニシュモア島でも、藁葺きの家は少なくなってきたようだ。
それでも未来に伝えようとする家もあり、うれしい。
これからもずっと、イニシュモア島に穏やかな時間が流れることを祈って…

アラン諸島の女の誇り、アランセーター。
「本物のアランセーター」は、編み目が詰まって、ずしりと重い。
イニシュモア島を自転車で走っていて見つけた、アランセーターの店。荒涼とした畑(?)と石積みの塀だけが広がる中に、1台のキャンピングカーが放置されていた。…と思ったら、車の中からおばさんが。ちょうど、開店準備中だったらしい。促されてキャンピングカーの中をのぞいてみると、中はセーターやカーディガンでいっぱい。全て冬の間に、親戚の女性一同で編んだとのこと。いずれも羊の自然な毛色そのままで、とてもナチュラルな風合い。それでいて編み目はしっかりと詰んでいて、手に取るとずしりと重かった。そんなアランセーターを、せっかくなので物色。どれも凝ったデザイン(編み目模様)のものばかりだったが、私はあれでもない、これでもない、と全く妥協せず。私のあまりのこだわり振りに、店のおばさんも呆れていた。だけど1枚、とびきり凝ったデザインのセーターを見つけ、それに決めた時は、おばさんもうれしそうだった。

終日のたりのたりかな、…と。
アイルランドへ行ったのは、夏真っ盛り。とは言え、冷涼な気候であるから、まるで春のように花が咲いている。そして春のようなのは、空も海も同じ。とても穏やかで、海も牛も「のたりのたり」している。そう、牛と言えば「赤・白・黒」3色揃っていたのが妙に気になった。日本ではなかなか、例え畜産農家であっても見られない光景だろう。

晴れるわけでもなく、曇るわけでもなく…
続く空と海がこのイニシュモア島を、ほんのりと覆っていた。

島の男たちは、今日も大西洋の荒波の中、漁に出る。
無事を願う女たちは、セーターの編み目模様に思いを託した。
ここは、アラン模様発祥の地。